0.動機

2006年1月26日 (木)

【動機】クイズをやる人=「頭がいい人」「何かを記憶するのが好きな人」?

 「クイズって”頭のいい人”とか、”何かを記憶するのがもともと好きな人”がやるもんでしょ?」

 こういう認識の方って、クイズ界以外の一般社会には非常に多いのではないか。
 そしてそれが、「"やる"クイズ」が敬遠される一つの要因になっているのではないか。

 ……という話が、xyzの打ち合わせの際に出ました。
 そういわれてみれば、橙も職場でそんなことを聞かれた記憶があります。
 ちなみに僕は、「野球少年にとっての甲子園が、僕にとってはクイズ王番組だった。それだけのことですよ」と返答したのですが。 

 クイズ界を見回してみると、確かに「頭のいい人」「単純に記憶するのが好きな人」「情報を得ることに喜びを感じる人」もいないわけではありません(イント郎さんとかストローワラさんとか、「知の巨人」とも言うべき人はごくわずかです。それにしてもストローワラさんがKOを袖にしなければこのツートップが同期で成立していたかと思うと、個人的には惜しい気がします)。
 しかし、大多数の人は”頭がいい”と自覚している(本当はどうであれ)わけでも、"覚えること""情報を得ること"そのものが好きなわけでもなく、「競技・ゲームとして何か打ち込めるものがほしかった」であるとか、もしくは「テレビ番組に出たい」であるとか、ひょっとすると「もともと興味はなかったけど、人から勧められてクイズをやってみたら面白かった」といったあたりが動機ではないでしょうか。

 もし最初に挙げた認識が一般的だとしたら、クイズ界の現実とは大きなギャップがあるわけで、クイズは非常に損をしているのかもしれません。自分のことを「頭がいい」「記憶するのが好き」と思っている人は、クイズ界にもクイズ界以外にもおそらくほとんどいないのですから。少なくとも、自分のことを「足が早い」「走るのが好き」という人、「歌がうまい」「歌うのが好き」という人に比べれば非常に少なく、むしろ「変人」だったり「傲慢」「勘違い」の可能性すらある。
 となると、大多数の人々(自分のことを「頭がいい」とも思っていないし、「記憶することに苦手意識を持っている」人)は、「クイズは自分がやるものではなく、もっと特殊な人達がやるもの」と捉えてしまう恐れがあります……というのが、最近持っている仮説です。
 
 となると、そんな大多数の人々に対してヒットするような、クイズの魅力を伝えるやり方が何かあるのではないか。うまく伝えれば、クイズの市場はもっと広がるのではないか。
 たとえば、下記のようなメッセージ。

 ・みんながクイズ王を目指しているわけではない。
  野球と同じで、プロを目指している人もいるし、草野球レベルで楽しむ人だっている。
  また、「競技する」「勝ち負けを競う」だけがクイズの楽しみ方じゃなくて、いろいろなクイズの楽しみ方がある。

 ・そもそもクイズ王だって、全ての知識を知っているわけではない。
  「クイズに出やすい知識」を重点的・経験的に覚えているし、どんなに簡単な問題でも100%解答するのは非常に困難。野球のバッターと同じで、3割打てれば一流。
 それにテレビ番組は、正解が出ない問題はカットしているし、アタック25やミリオネアは「正解が出そうな問題」を事前にプロフィール等からリサーチして出している(これはクイズ界外の人には衝撃的らしいです)。

 ・クイズを通して、お互いの「好きなこと」「経験してきたこと」にまつわる知識を共有化することができる。
  いわば、コミュニケーションツールとして、クイズを使うことが可能。 

 ・まあ、というよりクイズって楽しいよ。まずは一回やってみない?

 などなど。

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 一方で現実を見てみると。
 
 *ここから先、「学歴」というかなりデリケートな話題に踏み込みます。
  誤解がないように先に書きますが、橙武者は
 「学力・学歴に一切関係なく、できるだけ多くの人にクイズを楽しんでほしい」
 「しかし、現状を見る限り、高偏差値の大学生・OBに偏っている」
 「であれば、それ以外の方々にももっとクイズを広めるチャンスがあるのではないか」 
 ……という立場であり、けして「高偏差値以外の層はクイズをやるな」という立場ではないことをお断りしておきます。

 「高校・大学のクイズ研は、偏差値が高い学校に集中している」というのも、一つの事実です。
 たとえば高校生オープンやabcを見ると、上位どころか出場している人も、いわば高偏差値の学校の人が大半を占めています。開成や東大寺などの私学の超・進学校のみならず、県浦和・県前橋・県船橋・仙台一・水戸一といった公立校も、いずれも県トップクラスの公立校です。
 これは最近だけではなく、クイズ研が山のようにあった90年代初頭でも、やはりその大半は高偏差値の学校に集中していた記憶があります。

 また、テレビのクイズ番組を見ていても、「タイムショック21」「天」いずれも出場している学校は高偏差値揃い。高校生クイズで「優勝候補」として取り上げられるのは、たとえクイズ研ではないにしてもラ・サールや東大寺などの「超・進学校」の面々(ラ・サールってクイズ研、確かなかったのでは)。
 これらの番組を見ていると、「クイズを(わざわざ)やる人=高学歴=頭がいい人」という認識がさらに強まる可能性が高いのではないでしょうか(「学歴と頭の良さの相関」が正しいかどうかは触れません。一般的にそう認識されていることが問題です)。

 「高学歴の人しかクイズを”やる”ことができない」と一般に考えられているとしたら、それは物凄く「もったいない」ことであると考えます。
 それ以外の方にいかにクイズを広めていくか。今後の課題として考えていきたいと考えています。

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 それにしても、素朴な疑問。
 何故、高偏差値の学校にクイズ研は集中しているのでしょうか?
 高校生クイズには様々な学校が参加していることを考えると、もっといろいろな学校にクイズ研があってもおかしくないのでは?もっといろいろな学校の人、いろいろなバックボーンの方がクイズを楽しんでもらうことができるのでは?
 ……このことについて、どなたか考えてみませんか?
   
 橙の仮説としては、「何かを覚えることが好き」という人はクイズ界にも非常に少ないものの、「何かを覚えることに抵抗がない」という人はわりと多いのでは、というものです。
 「何かを覚えることに抵抗がない」というのは、単純に記憶力の問題ではない。好奇心の強さとか、忍耐強さとか、向上心の強さとか、そのようなファクターも関連してくる。そしてそれらのファクターは、受験勉強にも活かされるので、正の相関関係が見られるのではないか……と。
 
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 なお、「クイズを始めるまでの流れ」を「アイドマの法則」っぽくチャート化すると、各段階でそれぞれ違った阻害要因があり、今回の「クイズは”頭のいい人”がやるものだ」というのも、その阻害要因の一つとなります。

 【クイズに興味がない】

     <Attention(注意)><Interest(関心)>
     ・まずは「クイズ」や「”やる”クイズ」の存在を知ってもらう必要がある。
   ↓ この部分については草の根では難しく、マスコミの力が非常に重要。
     草の根でやれることかあるとしたら、「会社のレク」「公民館などの公的行事」など?

 【テレビ番組などで、クイズに興味を持つ】

     <Desire(欲求)>
     ・クイズって「見る」ものだけど、「やる」ものじゃないよね。
        →「やる」クイズがある、ということを知ってもらう
   ↓           =「クイズ体験」(コミクリや職場レクなど)
     ・自分がやっていいの?クイズをやるのは頭がいい人なんじゃないの?
        →今回のテーマ。ここの抵抗感をどう和らげるかがポイントになる。

 【クイズをやってみたい】

   ↓  <Memory(記憶)><Action(行動)>
     ・どこでやればいいの?→各サークルや、クイズ体験イベント「xyz」の告知

 【クイズをやる】

      再び<Action(行動)>
     ・入れるサークルがない→サークルの案内(特に初心者サークル)
   ↓ ・イベントに行っても、クイズ的にも人間関係的にもついていけない
       →・初心者にも参加機会・解答機会があるイベント(Quizzes-2など)
         ・仲間の輪(内輪)に引き込む仕組み作り

 【クイズを続ける】

2005年8月13日 (土)

【動機】なぜクイズを始めたのか(3):自分自身篇

 というわけで、「なぜクイズを始めたのか」。
 前回の「環境篇」に引き続き、「自分自身篇」です。
 同じ環境であっても、性格・価値観・能力などによって、反応は全然変わってくるわけで。  

・競争志向、ジャンプ的価値観

 もともと「人と競いたい、勝ちたい」という競争志向が強い。
 また、「勝利を目指して、仲間との友情を大切しながら、努力を重ねる」、そんなジャンプ的価値観に強く影響を受けている。
 これは、クイズを始めた理由として大きな要素を占めています。

 これは世代的なものに大きく影響されるのかもしれません(ある意味、教育や文化の影響であり、「環境」といえなくもない)。クイズに限った話ではなく、他の世代の人と話していると、このあたりの「競技志向」「ジャンプ的価値観」というものに世代的な差があるように思えます。
 20歳前後の人はここらへんが(クイズ関係者に限らず)薄くなってきているように感じるし、一方で自分+5歳くらいの方は第二次ベビーブーム世代=受験の激化ということもあり、競争志向やジャンプ的価値観が自分らよりもさらに強いように思えます。
 たとえば、KingTowerさんのクイズに対する姿勢が一つの実例ですし、KingTowerさんのご同期のKanaupapaさん(「天」の覆面クイズ集団のボス)にしても、あれだけ温和な一方で闘争心とか負けず嫌いな点では相当強いわけで(その点を橙はすごく尊敬しています。もちろん「知識の深さ・幅の広さ」「はっきりとした答え方」という点も)。もちろんこのお二人が「クイズ王」だから……という側面もありますが、平均的に見ても競技志向の強い代、と感じます。

 ・運動音痴
 
 競争志向やジャンプ的価値観。これを追求する最適の場の一つが、体育会です。
 最近、「橙さん=体育会系の性格」といわれたことがありました。確かに競技志向だし、気合とか努力とか好きだし、良くも悪くも「先輩-後輩」視点で対人関係を見がちだし……その一方で、クイズの文化部っぽいとこはあまり好きになれない(ぬるい雰囲気とか。もちろんそれを好む人がいる以上「あり」であることは承知していますが、好き嫌いで言えば「好き」にはなれない)……なるほど。
 しかし、橙は体育会には行かなかった。

 運動音痴。この一語に尽きます。
 運動が苦手で、ケンカも弱い。「動物」としての劣等感(生存本能に根ざしたもの)を常に持っていました。
 
 今も昔も、「運動音痴なのに、競技志向」の人が選べる選択肢はほとんどありません。
 クイズは、その数少ない選択肢でした。なんせ、「史上最強」のキャッチコピーは「クイズは頭の格闘技!」だったわけですから(このスレ見てたら、いきなりこのフレーズが>>89に出て驚いた)。
 「運動さえできれば体育会を選んだ。が、運動音痴だからクイズを選んだ」という方も、結構いるように思えます。

 *逆に、「もともとスポーツをやっていたので、”クイズ王番組”の競争志向なところに魅かれた」という人も多いです(というよりこちらの方が多いかも)。中・高は運動部に所属していたクイズ関係者もかなり多いことですし。
 そう考えると、「知的競技としてのクイズ」という点でもクイズはまだまだチャンスがあると信じているのですが、それはまた別の話。

 ・「新しいことを覚えること」「本を読むこと」について、もともと抵抗がなかった

 運動が苦手な一方で。
 「駅の名前を全部言えるようなガキ」ではありませんでしたが、
 「幕府の歴代将軍の名前を全部言えるようなガキ」ではありました。
 執権は言えなかったけど。大伴弟麻呂とかは言えなかったけど(Wikipediaによると、幕府以外では坂上田村麻呂・大伴弟麻呂・源義仲だけらしいんですが……本当?詳しい方、ご教示いただけるとありがたいです)。

 本を読むことはもともと好きでした。
 さらに輪をかけたのが、小学生のときに「図書館で何冊本を借りたか、ランキングする(物語は青、伝記は緑といったような形でシールを貼って、教室の後に貼る)」という仕掛け。これにまんまとはまり、上記の競争志向もあり、「負けるもんか」と思いながらひたすら本を読んでいました。特に図書館においてある伝記を全部読んでいたのが、後でクイズをやるときの基礎知識としてかなりアドバンテージになりました。

 何かを覚えることにはそんなに抵抗がなかったので、勉強は得意でした。今思えば頭が良いわけではなく、単に勉強してただけ。運動音痴というルサンチマンを勉強で晴らそうとしていただけ。
 逆に言ってしまえば、外見も×、スポーツも×、とりえといえば勉強だけ(それもたいしたことない)、しかも負けず嫌いですぐムキになる……というヤなガキだったわけで。

 ・人とちょっと違うことを求める

 「他の人と同じ」というよりは、「ちょっと人と違う」「みんなのやっていないことをやろうとする」方を求める志向は、クイズと関係なくもともと持っていたと思います。音楽の趣味にしても、取り上げる話題にしても。
 といっても、他の人が全く知らないものでも俺は好きだ、というほどの確固たるポリシーとかがあるわけでなく、あくまで「ちょっと違う」もの。少しだけ話題になってるとか、100人いたら1人くらい知ってそうなこととか……。音楽で言えば、新曲が20位くらいに入るバンドは好きだけど、かといって無名のインディーズバンドまで追っかけるほどではない、といった感じ。

 ・目立ちたがり屋

 前段とも共通するんですが、自己顕示欲は相当強いと思います。
 クイズだろうがなんだろうが、とにかくテレビに出たかったのは確かです。

 ・女性が好き

 今となっては信じられない話かもしれませんが、昔は「クイズ王がファンが殺到する時代」がありました。しかも、うら若き女性たちが。
 外見も×、スポーツも×、とりえといえば勉強だけ……といった人間がもてるわけもない。となると、「動物」としての劣等感に加え、「オス」としても否定される日々。

 そんな橙少年からすれば、テレビで女性から歓声を浴びるクイズ王はまばゆく映りました。
 「クイズ番組に出れば自分も……」
 今となってはとち狂ったとしか思えないようなことを、この当時は真剣に信じていました。
 もうどうにもこうにもDT。
 
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 スポーツという形では、競技志向を満たせない。
 環境によっては、刻苦勉励して「東大法学部→国Ⅰ→エリート官僚」「医者・弁護士」を目指し、周囲の人間を「人生の勝者」気取りで見下す、鼻持ちならないヤツになっていたかもしれません。
 しかし。幸か不幸か、僕の周りの環境にあったのは、クイズでした。
  
 クイズは、競技としてチャレンジすることができる。たとえ運動音痴であっても。
 勝利に向かって努力することだってできる。
 新しいことを覚えることは抵抗がないし、他人が知らないことを突っ込んで知るのも面白そうだ。
 しかも、クイズに強くなればテレビで目立つことだってできるし、クイズ王になれば女性にもてるかもしれない。
 クイズだ!クイズだけが、クイズだけが俺の唯一の活路なんだ!
 ……痛い。痛すぎるよこんな10代。

 クイズをやるモチベーションが「知的好奇心」に根ざしている方もいます。
 また、時代によっては「高額賞金狙い」という方もいるでしょう。
 が、自分はそれよりも、「競技志向」だったり「差異欲」「自己顕示欲」の方が強かった。
 もちろん、知的好奇心が満たされればそれに越したことはないし、賞金をもらえば嬉しい。ですが、それはあまりモチベーションにはなっていなかったのです。それよりもとにかく「勝ちたい!」「人と違う、と言われたい!」「目立ちたい!後世に名を残したい!」(そしてその結果「彼女が欲しい!オスとして認められたい!!」)というところにモチベートされていました。
 だから、「クイズでなければならない」理由は、正直あまりありませんでした。クイズ王の代わりにオセロ王や百人一首王がもてはやされていたとしたら、そちらを選んだことでしょう。また、もし10年くらい後に生まれていたら、「大食い」を志していたかもしれません。

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 まあ、こんなきっかけであっても、クイズを通してさまざまな貴重な経験を積むことができたので結果オーライなのですが。「クイズがなかったら、今の自分はない」と信じているし、クイズに情熱をつぎ込んでいる日々を誇りに思います。
 
 経験を積む中で、自分自身の性格・価値観も変わっていくこともあるし、変わっていないこともある。もちろん、並行して環境も変わっていく。それによって、クイズへの携わり方も当然変わってくる。
 もともとクイズ王を志してクイズを始めた橙武者が、どのようにして「クイズ論」や「実践」の方にシフトしていったのか。
 その過程で、どんな環境や自分自身の変化があったのか。
 それについては、またいずれ書こうと考えています。 

2005年8月12日 (金)

【動機】なぜクイズを始めたのか(2):環境篇

 「なぜクイズを始めたのか?」
 橙武者の場合、列挙するとこんな感じになろうかと思います。
 まずは環境から。
 
 ・子供の頃(80年代初頭)のクイズ番組ブーム

 3歳のころは、すでに「早く帰ってアップダウンクイズを見る見る見る~」とダダこねる子供だったらしいです(父親談。なお、想人もアタック25を見せると大喜びします。血か……)。他には「三枝の国盗りクイズ」とかが好きでした。
 クイズの問題そのものはわからなくても、誰かが答えて、正解・誤答という形で結果が出て、最終的には勝者・敗者に分かれる……そんな「競技」「バラエティ」として大好きだったように思えます。

 ・小さい頃から見た「ウルトラクイズ」「高校生クイズ」への憧れ

 ウルトラクイズが始まったのが、橙武者が生まれた年と同じ、1977年(偶然か必然か、この年生まれのクイズプレーヤーはかなり多数)。初期の回はほとんど記憶に残ってませんが、物心ついたときからずっと「ウルトラ」を見ていたわけで、「いつかはあっち側に……」と子供の頃から思っていたのは間違いない。
 ただ、どちらかというと「ウルトラ」より「高校生クイズ」の方が好きな子供でした。世代が近かったこともあるんですが、おそらくクイズを通して泣いたり笑ったり……といったところが、ウルトラよりもストレートに訴えられていたから、かと思います。
  
 ・「クイズ研究会」というものがポピュラーな時期だった

 上の2つだけであれば、一ファンとしてクイズを「見る」立場で終わっていたかもしれません。
 しかし、自分に大きな影響を与えたのが、中学生の頃(89-92年)はまだ「クイズ研究会」がポピュラーだった、という点だと思います。

 「ウルトラクイズ」で立命館大が連覇したり、「FNS」「史上最強」などで「クイズ王ブーム」といわれていた頃。ブラウン管の向こうで活躍していたのは、各大学のクイズ研の精鋭たちでした。
 92年頃になると、その流れがさらに高校にまで流れ込みます。「高校生クイズ」の本選に出場することはまだあまりなかったのですが、事前番組で毎年なんかしら取り上げられていました。
 「高校に入ったら、クイズ研に入ろう。クイズ研がなかったら自分で作ろう」というのは、中学生の頃から考えていました。

 さらにそれを後押ししたのが、クイズ本の数々でした。
 ウルトラクイズや高校生クイズの問題集もさることながら、長戸勇人さんの「クイズは創造力」が橙に与えた影響は非常に大きいものでした。
 特に「応用篇」。いきなり書いてあるのは「クイズサークルを作ろう」ということであり、「高校のクイズ研究会」への想いがさらに募ることになりました。
 
 ・高校でクイズを始められる環境にあった

 クイズ研そのものはなかったのですが、部活紹介で「クイズもやってます」という「社会科学研究会」がありました。
 半年後、「クイズ研究会」を結成できました(10年後もまだ生き残っているのは非常に嬉しいです)。この第一歩を踏み出せたのも、社会研という母体があったからこそ(プラス、隣の棋道部もクイズ好きの人が多かったこと)。
 
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 上のような環境に置かれていた人は、当時日本中にたくさんいました。
 しかし、「クイズブーム」という同じ環境に対しても、その人の性格・価値観・そして能力によって行動は当然変わってくる。
 では、自分はなぜ、「クイズをやる」という行動を選択したのか……については、次項で書きます。

【動機】なぜクイズを始めたのか(1):はじめに

 思えば自己分析とか内面の掘り下げとか、真剣にやったのは就職活動以来かもしれません。
 そのときも「クイズ」という軸ではもちろんそれほど掘り下げていなかったので(「なぜ働くのか」「なぜこの職種・業界・会社なのか」はやったけれど)、結構新鮮だったりします。

 普通5W1Hといえば「who,what,where,when,why,how」のことですが、「トヨタの5W1H」といえば何の略? 
 Ans.
why,why,why,why,why,how

 "自分はいろいろな「クイズ論」や「実践」をしてきたのか"、「なぜ?」「なぜ?」を重ねてみます。
 クイズ界が維持・発展してほしいから
  ←クイズを今後も続けていきたいから、クイズやクイズ界に楽しませてもらった恩返しをしたい
  ←そもそもクイズやクイズ界が好きだから
 …といったように。

 すると、途中で必ず出てくるポイントがあります。
.
.

 「なぜクイズを始めたのか」
.
.
 「クイズ番組」は、世界的にも知らない人がほとんどいないメジャーなものです。
 しかし、「クイズを趣味でやる」ということについては、こと日本に限ればそれほど一般的な趣味ではありません。「クイズ研究会」というものの存在がある程度知られている(ネガティヴなイメージですが)にも関わらず、実際にそこに入ってクイズを「やる」人はそれほどいないわけです(だからこそチャンスがある、と思っているのですが、それは別の話)。

 「やる」クイズという比較的マイナーな趣味を、なぜ好きになったのか。どんなところを好きになったのか。
 そしてなぜ始めたのか。
 この点については、是非皆さんにも聞いてみたいと思います。
 コメントやトラックバックを残していただけると非常に嬉しいです。

 コメントつけづらい記事が多いせいではあるんですが、コメントの少なさにやや凹み気味なので。
 ウサギはさみしいと死んじゃうんだよ。

2005年8月 7日 (日)

【動機】幕間:「継続」について考えてみた

 さて、前段で「quiz_too_funやxyzを今後継続していきたい」ということを書きました。
 本来の「動機」とはちょっとずれる話ですが、この「継続」ということについて、少し突っ込んで考えてみます。

 正直な話、かつては単純に「いいものを作れば、あとは下の世代が僕の“想い”を汲み取って、代替わりしながら続けることができる」なんて思っていました。
 「作ればそこにやって来る」。まさにフィールド・オブ・ドリームス。世代は逆ですけどね。
 しかし、現状はそんなに甘くない。リアリティ・バイツ。 

 「先輩から後輩へ、代々引き継いでいく」
 「先輩が築き上げた歴史を生かしながらも、後輩がその時代に合った創意工夫をして、よりよいものを作っていく」

 ……高校・大学クイズサークルに見られる伝統的な「先輩・後輩」関係であれば、このようなことも可能でしょう。
 しかし、「先輩から後輩への継承」で成り立つ大学クイズサークルがどんどん力を失っている。「~大学オープン」で残っているものはかなり少ないですし、その総本山的な「Man of the Year」も、今後どうなるかはわからない。

 一方で、社会人も参加するクイズサークルの場合、「全員がフラットな立場で参加できる」メリットがある一方、「継承」という意味では実は不得手です。もちろん社会人サークルの中にも「先輩・後輩」関係があるにはありますが、高校・大学ほど濃くはない。

 「クイズ界」全体を見ると、かつては高校・大学クイズ研のような「先輩・後輩」関係で成り立っていました。しかし現在は、「高校・大学クイズ研以外でクイズを始めた方が増えたこと」「長くクイズを続けるOBが増えた一方で、現役が減少している=上下関係がなくなってきている」こともあり、社会人サークルのような「フラット」な関係で成り立っているように思えます。
 (そもそも、「クイズ界=大学クイズ研の現役+OBの集合体」と認識されてきたことが、冷静に見れば異常です。社会人からクイズを始めた方も昔からいらっしゃったのですが、なかなか「クイズ界」の輪の中に入りずらかった、と思われます)。

 そんな中、自分のやり方というのは、無意識のうちに「先輩・後輩」関係に沿ったものだったんだなあ、と改めて思い返します。もちろん、これはこれで良いところはある。
 しかし、今後継続させることを考えると、「代々、下の世代に引き継いでいく」のではなく、「その時々で、やれる人が責任をとりながら、代々続けていく」、新しいパラダイムが必要となってきます。これはquiz_too_funやxyzに限った話ではなく、abc/誤に関しても同じことが言えるでしょうし、「先輩・後輩」関係の総本山であるマンオブもひょっとするとそうなっていくのかもしれません。
 
 その新しいパラダイムを築き上げるためには、「想い」や「目的」の部分をいかに共有するか、にかかってきます。
 かなり困難なことではありますが、まずは自分自身を振り返ってみるところから再スタートしてみます。

【動機】「クイズ論」や「実践」の動機

 これまで10年間、私・橙武者はさまざまなクイズ論を発表したり、さまざまな形でイベントなどのアクションを実践してきました。「眞露杯」「Psy・Coro Cup」「Prom’99」「KITSCH Return」、現在では「quiz_too_fun(通販・レンタル)」「xyz(イベント)」「Quiz Park(情報誌)」「nextsteps(サークル)」などなど……。多くの方々にご協力いただいた(無理矢理巻き込んだ?)おかげでやってこれたと思っています。

 さて、「クイズ論」にしても「実践」にしても、「なんでわざわざそんな面倒臭いことをやってるんですか?」ということを、半分呆れられた調子で聞かれることが時折あります。
 「やらなければ!」という危機感や切迫感~「初心者にも楽しめるクイズを用意しないとクイズの未来はない」「マジアカブームや高校生クイズが続いている間に何らかの手を打たないといけない」など~や、現状を自分なりに整理した「思い」から来ている部分もあるにはあります。
 が、動機となっている大部分は、「好きなクイズを通して、こんなことをやりたい!」「やってみたらもっと楽しくなりそうだ」という、なんとも説明しにくい混沌とした「想い」です。

 で、これまではその点を非常に曖昧にしてきたのですが……。
 私が「クイズ論」を考えたり、初心者向けクイズイベント・サークルや通販・レンタルサイトを「実践」したりする、その動機となっているものは一体なんだろうか、と最近よく考えるようになってきました。

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 なぜ、いまさら「動機」について考えるようになったのか。
 「quiz_too_funやxyzを今後継続していくためには、今まで以上にいろいろな方に力を貸していただく必要がある」「しかし、力を貸していただくためには、今までのやり方だけでは駄目だ」というのが、そのきっかけです。

 個人的事情ではありますが、2006年7月に異動する可能性が高いです。東京を離れること、今以上に忙しくなることも多分に考えられますし、家族にも今まで以上に時間と熱意を割いていきたいし、なかなか手が回らないクイズ以外の趣味にも手を出していきたい。
 一方で、この12月にquiz_too_funも発足3周年、あらためて中長期の計画を練り直す時期。ずっと橙武者個人が同じペースでクイズを続けることは不可能なわけで、もし橙武者が手が回らなくなったときでも、初心者向けのクイズイベントや通販サイトが存続できるような、そのための仕組みを考えなければならない。そのためには、いろいろな方に力を貸していただく必要がある…・・・。

 今までは、「適切なクイズ論」「適切な実践」をすれば、似たような「考え」「問題意識」を持った人が自分から手を挙げてくれる……などと思っていました。
 しかし、仮に自分の意見なり実践が「適切」だったとしても、それだけで人を動かせるわけではない(まして、自分の意見が常に「適切」わけがない)。人が動かなかったのは、「適切」だったかどうかだけに左右されるのではない。
 人を動かすためには、まず、自分自身がどんなものによって動かされているか、つまり「何のために、何が楽しくて、クイズ論や実践をやろうとしているのか」、捉え直す必要がありそうだ……。
 
 また、「クイズに対する熱意や思い」が僕と同じくらいある人でも、方向性は人によってさまざまです。プレーヤーとして高みを極めたい人もいれば、企画者として自分のアイデアを形にすることにこだわる人もいるし、とにかく楽しみたい、という人もいるだろう。たとえば「クイズ界」の継続・発展を考えるにしても、橙武者とさいやとそうりでは当然方向性が変わってくるし、それによってアクションも変わってくる。
では、橙武者の志向は一体なんなのだろうか。そして、その背景にある「価値観」とはどんなものだろうか。
自分について分析することで、似たような志向を持つ方に強く訴えることができるかもしれない……。

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 「他の方に力を貸してほしい」「将来的に他の方に引き継いでいきたい」という最終目的からすれば、自分の動機やら志向・価値観やらについて考え直すことは、かなり遠回りな作業です。スタッフ募集について、質・量ともにPRを強化した方が有効なのかもしれない。
が、この衝動の部分をないがしろにして「実践」部分だけを引き継いでも、単なる惰性となってしまい、長続きしない。また、「クイズ論」の部分を引き継いでも、その人の衝動の部分と結びついていない限り、いつかは重荷になってしまう。

 (1) まずは自分の動機や志向・価値観を捉え直し、
 (2) その上で各アクションへの「想い」や「目的」を明確にし、
 (3) 「現状」を再認識し、それをもとに今後の「打ち手」の一次案を考えるとともに、
 (4) クイズ界内にスタッフ募集のPRを行い、「想い」や「目的」に一部でも共感していただいた方と協働できる仕組みを整え、
 (5) そうやって集まった方と、あらためて「現状」の認識、今後の「打ち手」を策定、実行に移す

 ……遠回りであっても、中長期を考えるとこの方が確実である、と考えています。

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 そんなこんなで、このblogで「0.動機」という新しいカテゴリを作りました。上で言うと(1)の部分です。
 「なぜ」「何のために」自分は、いろいろな「クイズ論」や「実践」をしてきたのか。
 そして、どのようなことが由来で、そのような動機を持つようになったのか。先天性のものなのか、クイズ以外の環境なのか、クイズの経験からなのか。
 自分自身でも曖昧にしてきたこの部分を、あらためて掘り起こそうと思います。
 
 (2)~(4)の部分は、quiz_too_funの「スタッフ紹介」の形で明確化(8月中予定)。
 (5)については、各アクションに反映させていきます。

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     2013/12/8、東京・大阪・福岡+αで開催!ペーパー・早立ちを用いた「幅広い知識を競う真剣勝負」です。兼任スタッフエントリー受付中!
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     2011年に発足したクイズサークルです。蒲田を中心とした東京周辺で、1~2月に1回活動を行っています。初心者から強豪まで、若手からベテランまで参加者募集中!
  • 3.クイズ企画共有化計画"Q_loud"
    「クイズの企画を共有化し、各サークルで実施しよう」という試みです。
  • 4.クイズポータル
     「クイズ」に関連する情報を集めたポータルサイト。「クイズ」で検索したときに上位に出るよう、サイト・ブログをお持ちの方はリンクを貼っていただけると有難いです!

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