【感想・本】2月に読んだ本
【一般】
ラーメンと愛国
電子部品だけがなぜ強い
秀吉と海賊大名
いま、地方で生きるということ
財界の正体
落語 知れば知るほど
古地図と名所図会で味わう江戸の落語
藤田達生『秀吉と海賊大名』。というかほとんど河野家周辺(九鬼家はほとんどでてこない)。来島氏も村上氏の一族だったり、河野通直は毛利系の血 を引いていたりとツボにはまる知識が。信長の野望やるときは長宗我部使うことが多いから馴染みの人名が多かった。(02月14日)
西村佳哲『いま、地方で生きるということ』。一貫した明確な主張……というよりも、様々な人による断片的なヒント、という感。もっともテーマそのものよりもミシマ社という会社についての興味の方が募ってみたり。(02月15日)
【仕事関係】
惣菜入門
絶対達成する部下の育て方 (いや部下がいるわけではないのですが、部下側の立場で読んでみた)
ヤバい経済学
超ヤバい経済学
レヴィット、ダブナー『ヤバい経済学』。タイトルほどヤバくない。「常識の疑い方」の積み上げ方とかまっとうに参考になる。ところでアメリカにもDQNネームがある、ってのは結構衝撃。ジャスミンのスペル違いが大量にある、ってのはなあ……。(02月07日)
レヴィット&ダウナー『超ヤバい経済学』。意外な因果関係もさることながら、ロジカルに詰めてく過程に興味を惹く点は一作目同様。まあ第 一章がいきなり売春の話なんだけど。しかしシカゴでは搦手門(婉曲表現)が$94、大手門(同じく婉曲表現)が$80なのに比べると安くないか……。 (02月22日)
【小説】
窓の魚
ボーナス・トラック
J
2005年のロケットボーイズ
青年のための読書クラブ
空色メモリ
陽だまりの彼女
せきれい荘のタマル
金曜のバカ
嫉妬事件
空飛ぶタイヤ
ダイオウイカは知らないでしょう
地下の鳩
テンペスト 上・下
越谷オサム『ボーナス・トラック』。読み易さと陳腐さは比例しがちだが、「読みやすくて、かつ陳腐でない」ギリギリのラインを巧くついた感。これ でデビュー作なんだ!越谷作品は今のところ3作読んでハズレ無し。個人的には東川より上(ジャンルは違うが)。数年後怒涛の勢いでドラマ化されてそう。 (02月05日)
というより『陽だまりの彼女』の猛プッシュぶりを見る限り、年内にはドラマ化だろうなあ。いやドラマに向くかどうかはまだ読んでないのでなんとも言えないけど。(02月05日)
五條瑛『J』。越谷オサム借りたときに思わず目に留まった。当方にとっては借りざるを得ないタイトル(ただしジェイは女性なので念の為)。想定よ りは引き込まれたけど、ご都合主義すぎるというか浅いというかなんというか……。ドラマというかゲームに向きそう。(02月07日)
五十嵐貴久『2005年のロケットボーイズ』。まっとうな青春小説+プロジェクトXもの。主人公の動きと成長が見えにくいのは、技術的要素が強い分やむを得ないのかなあ。『パパとムスメの7日間』もこの人なのか……。(02月14日)
桜庭一樹『青年のための読書クラブ』。この作品で描かれたはみだし者も含めて、この人女子高の雰囲気好きなんだろうなあ、逆に女子高出身じゃなさ そうだ、、、と思ったら案の定共学の米子東だった。読み易くて適度に驚きもある、けど、半年後に内容覚えてるかといえば微妙。。。(02月14日)
越谷オサム『空色メモリ』。青春小説の典型パターンに加えて、軽妙さと伏線→回収による意外さ(ただし敵味方は割とはっきりしてる)をうまく盛り込んだ作風。一歩間違えれば陳腐だけど、どの作品も不思議と魅力的。今のところ5冊読んでハズレなし。(02月15日)
越谷オサム『陽だまりの彼女』。なるほど、売れるのがよくわかる。これは確かに人に話したくなるわ。そして再読したくなる。しかし伏線とどんでん返しという点では乾くるみと共通してるけど、読後感にせよ性善説/性悪説にせよ対極的だなあ。
この本の性描写……正確に言うと「性行為を匂わせながらそのものずばりは描かない」表現は巧いと感服。全く触れないのはテーマから言っても不自
然、でも躱し方が絶妙。ああ、その点でも「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」なのか。ちなみに全く18禁じゃないです。(02月15日)
越谷オサム『せきれい荘のタマル』『金曜のバカ』。これで競作アンソロジーの『蝦蟇倉市事件2』(米澤穂信も参加)以外の越谷作品は一通り読了。 どれも適度な思春期+地味+伏線+性善説な感じでハズレがないのですよ(←だいたい一作品に1-2度は出てくる語尾)。(02月22日)
辻村深月・西加奈子・越谷オサムがここ1年のヒット。どの作品もそんなにハズレがない(逆に言えば幅は広くない)。一方で乾くるみは当たり外れが 激しくて勧めるのに躊躇する。イニシエーションラブ、リピート、カラットあたりはいいんだけど。。。正直『嫉妬事件』は読むのが辛かった。。。(02月 22日)
乾くるみ『嫉妬事件』。バーーーカ(褒め言葉でも誹謗中傷でもなくそのまんまの意味で)。これが京大ミス研で実際に起こったという伝説があるのも 凄い。けして万人向けには勧められないが、マンサイには絶対読めと勧めておこう。あとはまあ、女性の描き方が相変わらずですね、と。(02月22日)
池井戸潤『空飛ぶタイヤ』。面白くて一気に読んだ。視点を複数にした小説はありがちだが、ずらし方が巧くて飽きない。善悪がかなりはっきりわかれているが、むしろ「痛快時代劇、ゼロ年代時事風味」と思って読むとちょうどいいのかも。
にしても、一気に読み終えて余韻にひたる間もなく、最後のページに書かれていた一文に爆笑してしまった。「本作品はフィクションであり、実在の個人・団体・事件とはいっさい関係ありません。(編集部)」 ◇◇◇御冗談を実業之日本社さん……。(02月22日)
池上永一『テンペスト』を2日間で一気読み。
酷評する人の気持ちもわかるけど、これはこれでアリ。確かにご都合主義アリアリだし物語の起伏にも段々飽きてくる(上巻の真ん中あたりで)けど、一気読みしたくなるくらい溢れるダイナミズム。
歴史物を今っぽい文章とキャラ重視で綴る……という点では『のぼうの城』と共通してるけど、『テンペスト』の方が数段面白かったかな。ここらへんは「琉球ものはよく知らないので興味ある-戦国物には逆に先入観と拘りがある」せいかもしれんけど。
荒いし陳腐だし10年後読んだら言葉の古さに赤面しそう(お嬢様爆弾とか→今でもやや恥ずかしい)だけど、2012年の今ならまだ間に合う。長いしダメな人にはとことんダメそうだけど、最初の2章読んでいけそう、という人にはお勧めできそう。
余談。『テンペスト』を「ラノベっぽい」って酷評してる人って、たぶんラノベ読んだことなくて毛嫌いしてるんだろうなあ。と書いてる僕もラノベ読まないですが。古式ゆかしい大河少女漫画だなあ、という感。あとドラマ版の徐丁垓はやはりGACKTか。深く納得。
さらに余談。池上永一という名前を見るとつい谷沢永一(文芸評論家、2ヒット)とごっちゃになる。しかし何故か池上誠一(元野球選手、3ヒット)とはごっちゃにならない。なぜだろう。職業の近接性?(02月29日)
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