今年の高校生クイズに関する記事を書いた際、mixiでのコメントのやりとりで、こんなことを書きました。
>関東クイズ連合も、僕がいた当時は超進学校だけではなく、「学区2~3番手校だけど、すごくクイズが好きな奴がいる」という学校も何校か入っていました。
>「超名門私立と、公立の地域ナンバーワン校」しかクイズ研がない……というのは、その時代を知ってると物凄く寂しいです。
んで、その実例として、過去の関東クイズ連合(高校クイズ研の親睦組織)の1994年3月当時の加盟校名簿が掲載された会報が出てきたので、実例を挙げてみます。
もっとも、「実際に普段から活動をしているのか」「そもそも組織だったのか?数人がそう名乗っていただけではないのか?」という点はわかりません。関東クイズ連合主催の大会にまで参加しようとする高校は当時から限られていましたし(高校生クイズが終わると極端にトーンダウンする、というのが当時の高校クイズ研の悩みの一つでした)、実際は1人サークルのような学校もありました。そのことを前提でご覧頂ければと思います。
あと、なぜ1994年かといえば、おそらくこの時期が一番高校クイズ研の数が多かったからです。ウルトラクイズでクイズ研が取り上げられた(長戸さんらが活躍した)のが80年代末~90年代初頭、そこから数年遅れて波が高校にまで達した、そんな時期の話だとお考えください。
それと、僕が知る限り現存しているクイズ研については◎をつけています。
【栃木】
足利女子、栃木南
【茨城】
常総学院、◎水戸一
【埼玉】
川越東、川越、◎県浦和、熊谷、城北埼玉、春日部共栄、慶應志木、浦和一女、大宮工、市浦和、早大本庄、西武学園文理、草加、春日部、春日部東、武南、熊谷女子
【千葉】
市銚子、流経大柏、八千代松蔭、◎県船橋、市千葉
【東京】
国立、お茶の水女子、西、昭和大付、板橋、北多磨、淑徳巣鴨、明星、小石川、江戸川、◎開成、上野、新宿
【神奈川】
相模原、桐蔭、◎慶應、法政二、岩谷学園
当時、他の地域がどうだったか……というのは、なんせネットもない時代なのでよくわかりません。前橋(群馬)、東大寺(奈良)は当時からクイズ研があった、なんて聞いていたような記憶があります。灘は聞いたことがなかったです。あとはこの時期に高クイを制した石橋(栃木)は、クイズ研はあったけど当時は未加盟だった模様。
んで、逆に当時クイズ研がなくて今あるところ……というと、早稲田中高くらいなんじゃないかな(現存しないとなると、)。ここについては、やはりmixiのやりとりで書いた自分のコメントを転載します。
---------------------
(現在、「超名門私立と、公立の地域ナンバーワン校」しかクイズ研がない」のはなぜ?……というご質問に対する橙のレス)
その一。設立のタイミングの問題かなあ、と。
高校クイズ研の設立で多いのは1992~95年頃。高校生クイズでも「高校クイズ研」が出てきたり、長戸さんの本の影響があったりで、全国にポツポツとクイズ研が出てきた頃です。で、きちっと把握できてないんですが、現在存在している高校クイズ研の大半は、この頃には既に誕生してたんですね。
開成、東大寺、県浦和、水戸一、慶應、県船橋……自分が高校生の頃(15年前)を思い返しても、ここらへんは既にありました。んで、これ以後に誕生したクイズ研というのはかなり少ない。ある意味「新設」に近い(過去のクイズ研はあったけど、そこと歴史は繋がってなくて、バンダナ王子あたりがゼロから作り上げた)ラサールなんかは例外に近いんです。
ゼロからクイズ研を立ち上げるというのはハードルがかなり高いですが、もともとあるクイズ研を維持していくのは、それよりはまだハードルは低い(それだって大変ですが)。で、いつ立ち上げるかといえば、ブームになっていた頃の方がはるかに立ち上げやすい。
今ゼロから立ち上げるのは、ノウハウの有無に関わらずかなり困難だと思います。クイズ研自体の認識が下がっている、サークル活動の優先順位が落ちてきている(「サークルに入る」より高校生にとって魅力的なコンテンツが多い。ネット、アニメ、ゲームなど)……という時代背景を考えると。
その二。これはどちらかというと「維持」の方につながる話ですが、http://diedie16.txt-nifty.com/gravitation/2006/01/post_2215.htmlの自分の文章をそのまま引用。
>橙の仮説としては、「何かを覚えることが好き」という人はクイズ界にも非常に少ないものの、「何かを覚えることに抵抗がない」という人はわりと多いのでは、というものです。
>「何かを覚えることに抵抗がない」というのは、単純に記憶力の問題ではない。好奇心の強さとか、忍耐強さとか、向上心の強さとか、そのようなファクターも関連してくる。そしてそれらのファクターは、受験勉強にも活かされるので、正の相関関係が見られるのではないか……と。
「進学校の方が、クイズに対する反応が良い生徒が多い=サークルを立ち上げやすく、維持しやすい」のは事実だと思います。
なお、この点最強なのは「学校行事にクイズが組み込まれている」県立浦和高校だと思います。詳しくは雑誌「Quiz Park」をご参照ください!
---------------------
つまり、今クイズ研がある学校は、
「1.ブームの頃にクイズ研が作られていて」
「2.それに反応する生徒が一定数いるので、維持できる」
学校ってことです。
逆に考えれば、「超名門私立と、公立の地域ナンバーワン校」なのに、クイズ研がない学校だって山ほどあるわけです。いや、むしろあるところが少ない。たとえば開成はあっても武蔵・麻布・桐朋はない、浦和・水戸一はあっても湘南・静岡はない、ラサールはあっても久留米大附設・青雲はない、とか。……現に東海高校にクイズ研はない!
とはいえ望みはないわけではなくて、僕が一時期やってた「早押し機レンタル」は、いろいろな学校からご依頼いただきました。各校にそこそこクイズに興味を持っている人っていうのは、数は少ないとはいえいるもので、そういう人がネットの発達により結びつきやすくはなってきている。
その点は望みだし、一方でそういう人達にとって「受験名門校偏重」の今年の演出はマイナスでしかないよなあ、というのが僕の認識です。
最近のコメント