【quiz_too_fun】クイズ論メモ「"人"から見たクイズの変遷」~(11)基本方針2・既存サークルの存続~
-目次-
<歴史篇>
(2)テレビクイズの時代(~1993年頃)
(3)大学クイズ研&OBの時代(1993年頃~2002年頃)
(4)脱・大学クイズ研の時代(2003年頃~)・時代状況篇
(5)脱・大学クイズ研の時代(2003年頃~)・時代状況篇Ⅱ
<現状篇>
(6)新歓・人材育成機能の変遷
(7)新歓・人材育成機能の今後の担い手
(8)なぜ社会人は、新歓・人材育成機能に関心を抱くのが非常に難しいか
<将来篇>
(9)社会人が新歓・人材育成機能を担うにはどうすればいいか?
(10)基本方針1・「初心者がクイズを楽しめる」ようなサークルの増加
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(9)でも書いた通り、基本方針2は「既存サークルの存続」です。また走り書きです。
サークル単位で見ても、「新しく入る人≦辞める人」という状況が続けば、いつかはそのサークルは立ち行かなくなります。もちろん、「辞めさせない環境を作る」ことも重要ですが、就職や結婚・出産など、どうにも動かせない理由でクイズから離れる人もいる。中長期的に続けようと思うのであれば、やはり「新しく人を入れる」必要性があります。
しかし、単にサークルのホームページを作り、その中に「会員募集!」と書いたところで、手を上げる人はほとんどいない(ゼロでないだけまし、ではありますが……)。そのサークルに興味を持っている人しか見ないわけで、「興味を持ってもらう」方法を考えなければいけないわけです。
これについては、(1)で述べた初心者サークルにも当てはまります。初心者サークルを結成し、ホームページを作っただけでは人は集まらない。何らかの形で外に打ってでる必要があるのです。
そこで提案するのが、「共通新歓活動=xyz・見本市」と、「クイズ新ポータルサイト」です。このうち後者については、前回にも出てきた「サークル情報(会員募集情報、活動内容など)をわかりやすくまとめたサイト」が相当します。次回の「基本方針3・オフラインクイズ自体の普及広報活動」の方にも密接に関連するので、そちらで説明します。
今回は「共通新歓活動=xyz・見本市」について。ちょうど「xyzは効率が悪いのでは?」という指摘を受けましたので、それに対する反論という形で進めていきたいと思います。
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ある方から、「xyzは非効率的ではないか」という指摘を受けました。
「初心者サークルが必要な点については同意。
しかし、”初心者サークルを立ち上げる”とホームページ上で告知すれば、もっと短期間で成果を出せたんじゃないか?
3年・6シリーズもxyzを全国で開催するのは、非常に非効率的ではないか?」
xyz、nextstepsでの自分の経験からお答えします(もちろん、もっと違う経験をした方からは、全然違う意見が出てくると思いますが・・・)。
【結論】
xyzをやらずにいきなり初心者サークルを立ち上げ、それをホームページ上で告知しても、ある程度の成果は出たでしょう。
が、今よりはずっと参加人数は少ないし、特に「それまでオフラインクイズとはあまり縁がなかった」方はほぼ皆無……と推測します。
地域によっては、サークル自体成立しなかったでしょう。
【要因】
(1) 継続的にサークルでクイズを楽しもう、と考えるのは、もともとある程度やる気のある層。それ以外の層は、いきなり継続的にクイズを楽しもう……とは思っていない。
nextstepsの参加経験者は、僕の知る限りだいたい約50名です(名古屋と博多は把握できていないので除外します)。このうち、
○もともと他のオフラインクイズサークルに入っていた層=10名(OZ、開成など)
○xyzがなくても、初心者サークルの告知だけで来たと思われる層(もともとサークルを求めていた層)=15名
○xyzでオフラインクイズを楽しんだからこそ来た……と思われる層=25名
感覚的な数値ですが、だいたいこんなところなのでは。
ちなみに、nextstepsは卒業制度を強いており、「もともと層」と「xyzがなくても層」の大多数は、ネクステ卒業生によるサークル「丼」に移行しています。
いきなり「サークルをやりましょう」という告知では、もともとやる気のある層しか来ない(上で言うところの「もともと層」と「xyzがなくても層」の25名です)。その層を集めることが最大の目的であれば、確かにxyzは非効率的です。でもxyzが狙っている層はそこではなく、もう少しライトな層です。「まずxyzでクイズをやってみて、そこでのクイズが楽しかったからnextstepsなり初心者サークルに来る」というのが理想的な展開なのです(中には「1年に2回、xyzでクイズができれば満足」という方もいらっしゃいます。そういうスタイルもアリだと思います)。
nextstepsもサイト上で告知をやっていますが、xyzを経ずにいきなりnextstepsに入会しようという人はほぼ皆無です。大半の新規入会者はxyzの参加経験者です。それも何回かxyzなどに参加して、「クイズを継続的にやってもいいな」「雰囲気も悪くなさそうだな」と思えるようになってから、ようやく初心者限定サークルの門をくぐる場合が多いのです。
(2) 「サークル」に対する抵抗感、「イベント」に対する気楽さ
前述の「やる気」の問題以外にも、まだ理由はあります。
クイズに限らず、新しい世界に飛び込む際、いきなりサークルなどのコミュニティに入ろう……というのは結構勇気がいることです。
行動を制約されるかもしれない。煩わしい人間関係があるかもしれない。続けなければいけないかもしれない。……などと考えると、「サークルの一員」よりも「イベントの一参加者」の方がはるかに気楽で、はるかに敷居が低いのです。
で、何度かイベントに参加して「住み慣れてきた」場合でも、コミュニティに入る人もいるし、入るのを望まない人もいる。クイズの場合は「クイズをやる機会を確保するためには、クイズサークルに入らなければ厳しい」という状況なので、基本的にサークルに入ります。が、野球観戦とかコミケだったらどうでしょうか?コミュニティ(応援団とか、コミケつながりの仲間とか)に入る人は必ずしも多数派でない。どっぷりはまっていて、かつ人付き合いがすごく良いかすごくさびしんぼうな人でしょう。尾美としのりとか。
新興宗教やマルチ商法の勧誘を想像しましょう(我ながらひどい例ですが、これが一番わかりやすいのがなんとも)。いきなり道場やオフィスといった自分のテリトリーに連れてこうとしてもうまくいかないし、それで来るのはよっぽどその宗教なり商法なりに関心がある層でしょうね。で、そんなコアな人だけを対象にしていたら成り立たない。おそらく最初は「運気が良くなる」「小遣いのチャンスかも」というセミナーを自分のテリトリーの外で開催して、そんなに関心がない層を勧誘しようとするでしょうね。で、セミナーにおびき寄せておいて、「気に入れば残っていただければいいですよ」といった感じで(もちろん、なんとかしてスタッフは残そうとするんだけど)。
閑話休題。
クイズにしても、いきなり「サークル」ってのは敷居が高いのではないでしょうか。たとえどんなに「初心者向け」「新しいサークル」をうたったとしても、イベントに参加するのに比べれば抵抗感は強いのでは、と。
少なくとも僕の場合、新しい趣味を始めるとして、いきなり「サークルに入れ」って言われたら腰引けます。
ワンショットで行けるイベント(初心者向けの体験会であればベスト)に何回か出てみて、そこで知り合った人がいい人そうだったら残る……って、その「いい人」が壷とか塩とか砂とか売ってきたら嫌だなあ……。洗剤でも嫌だなあ……。
(3) 「サークル」の告知って・・・どこで、どうやってやるの?
前述の通り、サークルのホームページで告知したところで、そこを見にいくのはそのサークルによほど興味がある層だけです。となると、どこかで外部に告知を打たなければならない。
インターネットの発達により、告知は打ちやすくなりました(xyz自体成立しなかったでしょう)。たとえばxyzの場合、各地区開催が決まると、「番組ファンサイト」「QMAサイト」「ネットクイズサイト」「ローカル情報サイト」に書き込んでいます。どこに書き込むか、どんな文章にするかは既に過去のノウハウがあるので、手間はほとんどかかっていません。
……で、もしxyzなしにサークルが新しく人を入れようとするならば、各サークルが同じやり方をすればいい。でも、あちこちのサークルが全てこれをやるのでしょうか?少なくとも現時点、このようなことをやっているサークルはほとんど見かけません(「じゃま~る」に掲載したグランドスラムくらいか)。手間はたいしたことないですが、サークル内外・クイズ界内外の心理的障壁の高さを考えると……いかがでしょうか。
もう一つ。ここは明確な根拠というより、イメージ的なものが強いんですが。
「サークル」の告知ってやりにくいんですよ。あまりそういう場はないし、インパクトも残らない。クイズに限らず、「○○というサークルです。ぜひゲスト参加してください!」って告知、見たことあります?
それよりは「イベント」の告知の方が、割とイメージしやすいし、記憶にも残りやすいように思えます。
おそらく「普段にない場面」「非日常」だからこそ……でしょうね。「日常」のPRは難しい。
以上の理由により、、”初心者サークルを立ち上げる”とホームページ上で告知しても、それ単体ではあまり効果を生まないように思えます。
xyzのようなクイズ体験イベントの存在意義は、「それほど熱心ではない層に対しても」「敷居を下げ」「そのことを告知する」という点にあると思っています。
【今後】
……といったように、xyzには存在意義があると私は考えているし、今後も定期的に続けていきます。
とはいえ、確かに「効率」という観点で見ると、成果の割に負担をかけすぎな面がないわけではない。各シリーズ自体については、初期に比べるとはるかに省力化されています(1~3の頃の基礎固めがあったからこそ、省力化しても運営できている要素が強いです)。とはいえ、半年に1シリーズというペースはどうなんだろうか。
たとえば年1シリーズにして、もう片方は違うイベントをやってみてもいいのではないか。たとえば「初心者も楽しめるけど、もう少し上の層も楽しめる」「xyzではなかなかできない、違った傾向のクイズもできる」少し毛色が違うイベントにするのはどうだろうか……などとxyzスタッフと討論していった結果、JINGくんの案で開催が決定したのがxyz presents "colorful bridges"です。
xyzの今後については、いずれ書く予定です。
ところで、xyz以外の初心者向けクイズ体験イベントがあってもいいのになあ。複数の傾向があった方が、それだけ間口も広がって効果的だと思うのですが。
誰かやりませんか?ノウハウについてはご協力します。
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A.オフラインサークルの外の世界(ネットクイズ、QMA含む)
B.初心者限定サークル
C.卒業生の受け皿となるサークル
こう分けたときに、AとBの架け橋になるのがxyzのようなクイズ体験イベントです。
一方で、BとCの架け橋になるものがこれまでなかった。ここについてはcolorful bridgesにて担う予定です。
この両者を、クイズ界全体、複数サークル共同の「共通新歓活動」として位置づけることで、これまでよりもさらに多くの方にご賛同いただくことができるのではないか。もちろん、「なぜこのイベントを必要なのか」「どの程度の負担なのか」「どのような点で効率化されているのか」を積極的にPRしなければならない。そういった意味で、今までPR=「相手がわかるように伝える」努力を怠っていた……のが当方の反省点です。
サークル運営のローコストオペレーション化、企画の共有化については、後日余裕ができたら改めて提案の予定です。
次回は基本方針3。クイズ界新ポータルサイトについて考えてみたいと思います。
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